桜が咲く頃に獲れるからサクラマス、とはまだまだ名ばかり。マイナス-10度の極寒の太平洋にサクラマスを釣りに行ってきました。

オフショア(船)からのサクラマス釣りですがサクラマスは貴重な魚なので、いくつか制限事項がある釣りです。
- サクラマスを釣る遊漁船はライセンス登録が必要。
- サクラマス釣りをして良い海域は限られており、B海域では日の出から正午12時(A海域は日の出から14時まで)までとする。
- サクラマスは1日ひとり10匹以内、それ以上釣ってはいけない。
- 20cm以下の大きさのものは採捕禁止、リリース。
- 釣ったサクラマスは売ってはいけない。
上記以外にもいくつか細かいルールがあります。
胆振地方の詳しい情報はこちら
サクラマスとは
古くは単に「鱒(麻須 マス)。」サクラの咲く時期にたくさんとれるため。川を遡上するため。
サクラマスの遡上は本州では走りは2月から、主に3月から6月まで。
北海道では4月頃に始まり、7月くらいまで。
サクラマスの「とれ始める(沿岸により、川を上る)時期」、もしくは「その地域の人たちがサクラマスがとれるようになったのだ、と思う時期」とがサクラの開花前線が重なる。
各地での呼び名を調べると、「桜鱒」という地域は生息域全域にわたるのは、この桜の開花前線に重なるためだろう。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑 https://www.zukan-bouz.com/syu/サクラマス
実際のところ、北海道の苫小牧や白老の沖では新年の年明け2週目あたりからポツポツ釣れ始めます。サイズは小さめサイズが多い中、3Kgや4Kgといった70cm以上ほどにもなるような大物も。そんな大物は体高が太くまるで板のように丸々と太っているので板マスなんて呼ばれています。
そしてこのサクラマス、元はヤマメという皆さんが良く知っている魚です。
北海道や東北地方、北日本方面のヤマメは河川などで生まれたあと、縄張り争いをします。そこで惜しくも縄張り争いに負けた個体は川を降り始めます。川を降った先には大海原があります。縄張り争いに負けたヤマメは河口域で海水に体を適応させた大海原へ旅立つのだそうです。
大海原を回遊した個体は海の豊富な栄養源を得て体は大きく成長します。同時にパーマーク(ヤマメの側面にある紋様)は消えスモルト化(銀化 – ぎんけ)し、見事銀色にギラギラした魚体へと変化して、また産卵の為に生まれた川へ遡上する為に帰ってきます。
一般的に鱒 -マスと言えば、このサクラマスを指すことが多く、本鱒とも言われています。有名な富山県名物の鱒寿司も、本来はこの本鱒であるサクラマスを使ったものですね。でも最近はサクラマスの個体数減少により、サクラマスはとても貴重な魚となってしまいましたので、カラフトマスなど別種類の鱒が使われることが多いとか。
サクラマスの釣り方
北海道では北海道の伝統釣法がある – バケ釣り
北海道にはバケ釣りという伝統的な釣法があります。
北海道の三角バケのパイオニア、ホウムラさんが有名です。
この三角形の大きなオモリ付き三角形の仕掛けに、毛針を付けた仕掛けが有名です。エサは使いません。
正直、バケは釣れます。
しかし私はこの釣法を使いません。理由はバケがめちゃくちゃ高価である事と、疲れるから。ら・・・。ではどうやって釣るのかと申しますと、
スロージギングでサクラマス
私はジギングでサクラマスを釣ります。それも最近ポピュラーなスロージギング(略してSJ)という方法です。ブリなど青物を狙う時の早いジャークと違い、ゆ〜っくりゆ〜ったりと誘いをかけていきます。リールもジャカジャカ巻きません。なので疲れません。
スロージギングに使うタックル
ロッド:6〜7ftくらいのスロージギングロッド(150g〜200g程度のルアーが扱えるもの)
リール:PE 1.2〜2.0号を200m巻けるリール(カウンター付きベイトリール推奨、後述)
ライン:PE 1.2〜2.0号を200m
リーダー:フロロカーボン 4〜5号を3m程度
サクラマスによく効く!実績ありのメタルジグ

北海道のオフショアジギングにおけるサクラマス釣りでは、スロージャーク後にメタルジグがどのような体勢でどのように落ちていくかが重要だと私は思っています。
そこでオススメなのが上記のメタルジグになりますが、上記のメタルジグは私がサクラマス釣行にて実際に実績を出したメタルジグです。ジャーク→スライド→フォールの動きでどう動くか、です。
もちろん他にも様々なメーカーから販売されていますので、ご参考程度にどうぞ。
メタルジグの動かし方と棚取りの重要性
棚取り
船長から必ず棚が指定されます。底から●メートルもしくは水深●メートルといった指示があるかと思います。これは必ず守ってください。
なぜかと言いますと、指定された棚以外の棚にメタルジグを落とすと、サクラマスが釣れないどころか外道が釣れます。外道を上げてくるときには必ずサクラマスの棚を通りますので、サクラマスの魚群を散らせてしまい、他のお客さんの釣果にまで影響してしまいす。
その為にも、必ずPEラインはSHIMANO TANATORUなどの色分けマーカー付きのもの、そしてリールはカウンター付きのベイトリールを強くオススメします。
メタルジグの動かし方
指定の棚まで落としたメタルジグにアクションを加えて動かしていきます。
大抵は水平から45度弱下に向けたロッドを、1mほど目の高さ程度までゆっくりとしゃくりあげます。しゃくり上げたら最初の位置までロッドを下げていきますが、この時にリールをゆっくりを1回転程度巻き取ります。
これが通常の動きです。
ここから、しゃくりあげの幅の大きさ、しゃくりあげのスピード、リールを巻く際の巻き取り量(1/2回転や1/4回転など)やスピード、あえてリールを巻かない(フリーフォール)などのアクションの違いや動きで、その時のタイミングごとにサクラマスが反応するアクションを探っていきます。
サクラマスはとっても美味しい魚
サクラマスはとても美味しい魚です。
北海道では「ルイベ」と言う、一度凍らせてから食べるお刺身がポピュラーです。なぜ凍らすのかと言いますと、実はサクラマスにはアニサキスという寄生虫やサナダムシの卵などが付いている事が多いからです。多いというかほぼ100%付いてます。
フライやムニエルなど熱を通して食べれば安心ですし、もちろんどんな料理にしても美味しいサクラマス。ぜひ一度「ルイベ」で食べてみて頂きたい。お刺身の概念が変わりますよ。その際は必ず一旦冷凍をお忘れなく。寄生虫は自己責任ですから、十分にご注意ください。
消費者の皆さまへ
◆ 魚を購入する際は、新鮮な魚を選びましょう。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 内臓を生で食べないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。
事業者の皆さまへ
◆ 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。
◆ 魚の内臓を生で提供しないでください。
◆ 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。
◆ 冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)
◆ 加熱してください。(70℃以上、または60℃なら1分)
※ 一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html
我が家の冷蔵庫の場合、温度を測定してみたところ-23.3度まで温度が下げられる事を確認しました。これで安心して美味しい「ルイベ」が頂けております。
今回お世話になったサクラマスライセンス遊漁船 – 光龍丸さん